8年前、友人に借りたお金(熊本日日新聞 2020年4月8日付)
2020.04.08
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Q 友人から8年前に借りたお金を返していません。5年以上たつと、時効で返さなくてよいという話を聞きました。返済しなくてもよいのでしょうか。
A 4月に民法の改正法が施行され、貸したお金などが時効で消える期間は、原則として貸した側などが請求の権利を行使できることを知ったときから5年となりました。
改正前は、個人間で貸したお金が時効で消える期間は原則として10年、金融機関や貸金業者のような商行為で貸した場合の時効は5年でした。さらに、医師の診療報酬は3年、弁護士の報酬2年、旅館や飲食店の代金1年など、債権の種類によって期間もいろいろでしたが、すべて5年で統一されて分かりやすくなりました。ただ、不法行為による損害賠償請求権などのように例外もあります。
改正法の適用は、施行日である4月1日以降に生じた債権が対象です。しかし、その前に発生していた債権については、改正前の法律による時効期間が適用されます。
ご質問のケースでは、今から8年前に貸し借りが成立しており、友人間のやりとりで商行為によるものでもありません。この場合、時効が成立するのはこれまで通り10年となります。時効は成立しておらず、当然、借りたお金は返済しなければなりません。
時効は、長い期間がたった後に問題として浮上してくるものです。今後、数年間は改正前の規定を適用する場合が多いため、注意が必要です。
弁護士 田上裕輝