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デマをリツイート、責任は?(熊本日日新聞 2020年7月29日付)

2020.07.29
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 Q ツイッターに「熊本で新たにコロナ発生。感染者は焼き肉店Aやカラオケに立ち寄る」と投稿がありました。焼き肉店Aは近所にあり、営業もしていたため憤りからリツイートして「店閉めろ!」と投稿しました。その後、立ち寄り先に関する情報はデマであることが判明しました。リツイートした私にも責任が生じますか。

 A 高速道路で発生したあおり運転をめぐり、ドライブレコーダーに記録された運転手と同乗者の映像が報道され、世間の注目を集めました。運転手が北九州市の建設会社に勤めていたなどとするデマを流した男性らは、名誉毀損[きそん]罪で起訴されました。
 また、愛知県のある市議は別のあおり運転に関し、自身のフェイスブックに「早く逮捕されるよう拡散お願いします」と記載して別人の顔写真を投稿したため、辞職に追い込まれました。
 質問のケースでは、最初に焼き肉店Aに立ち寄ったとデマを投稿した者は刑事責任を問われる可能性がありますが、リツイートした者まで刑事責任を問われる可能性は低いと考えます。
 しかし、リツイートした者も、民事では責任を問われる可能性があります。裁判所はリツイートもツイートをそのまま自身のツイッターに掲載する点で、自身の発言と同様に扱われると判断しています。
 そのため、焼き肉店を経営するAから、名誉毀損や営業妨害を理由とする損害賠償を請求される可能性があります。SNS上に投稿する際には、慎重な姿勢が欠かせません。

弁護士 森徳和