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コロナ禍、賃料の減額できる?(熊本日日新聞 2020年10月7日付)

2020.10.07
賃貸借 賃貸借

 Q 建物を賃借して飲食業を営んでいますが、新型コロナウイルスの影響で収入が激減し、賃料の支払いが困難となりました。賃料を減額してもらうことはできますか。

 A 借地借家法11条と32条では、賃料の増減について大略「土地、建物に対する租税その他の公課等の増減により、土地建物の価格の上昇若[も]しくは低下その他の経済事情の変動により、賃料が不相当となったときは、賃料の増減を請求できる」と定めています。
 そうすると、借り主の収入が激減したことは「その他の経済事情の変動」に該当し、しかもコロナ禍の影響で借り主の収入が激減したことは予測不可能であったとして、賃料減額を求めることは可能と考えられます。しかし、11条、32条の要件にぴったり当てはまらないとする反対論もあるでしょう。
 賃料減額を請求する方法は、貸し主が任意に応じてくれれば当事者間の合意で済みますが、貸し主が応じてくれない場合は、まず簡易裁判所に賃料減額の調停を提起し(調停前置主義)、この調停で合意に至らなかった場合に、裁判所に「賃料減額請求訴訟」を提起して裁判所の判断を待つことになります。
 貸し主が相当と認める賃料の支払いを請求しない場合は、賃料減額調停や裁判を提起して結論が出るまで、借り主が相当と認める賃料を支払っていれば、一応賃料支払い義務を履行したことになります。
 賃料減額は簡単にはできませんので、弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士 吉村俊一