せいかつQ&A

  1. ホーム
  2. せいかつQ&A
  3. 配偶者居住権(熊本日日新聞 2020年10月21日付)

配偶者居住権(熊本日日新聞 2020年10月21日付)

2020.10.21
相続・遺言問題 相続・遺言問題

 Q 最近「配偶者居住権」という言葉を目にするようになりましたが、どのような権利ですか。この権利はいつ、どういった場合に発生するものですか。ちなみに私には夫と2人の子供がいます。

 A 「配偶者居住権」とは、夫や妻に先立たれた人(配偶者)の居住権を確保するための制度で、2020年4月1日から施行された新制度です。
 この女性の場合であれば、(1)夫名義の建物があり、(2)夫の死亡時に女性がこの建物に住んでおり、(3)遺産分割によって配偶者居住権の取得を女性と子供2人との間で合意した場合、または女性の夫が遺言書で配偶者居住権を設定していた場合に発生します。
 配偶者居住権を取得した者は、居住していた建物の全部について無償で使用・収益する権利を得ます。この権利は、原則として配偶者の死亡まで存続します。
 過去の制度では、配偶者が従前住んでいた建物に居住を続けるためには建物の所有権を取得するか、または所有権を取得した人と賃貸借契約を結ぶ必要がありました。しかし、その場合、配偶者が一定程度の金銭的負担を強いられるという問題点がありました。
 新制度により、配偶者は金銭的負担を強いられることなく従前住んでいた建物に住み続けることができるようになりました。配偶者居住権を遺言で設定することで、配偶者に配慮した相続結果にすることが可能となります。

弁護士 大津秀英