被災ローン減免制度(2)(熊本日日新聞 2020年11月4日付)
2020.11.04
豪雨災害 豪雨災害
Q 7月の熊本豪雨で自宅が被災しました。「被災ローン減免制度」を利用した場合、具体的にどうなるのか教えてください。
A 9月9日付の「せいかつQ&A」で「被災ローン減免制度」について紹介しました。今回はこの制度を利用した場合、「どのくらいの財産を手元に残せるのか」「ローンはどうなるのか」を具体的なケースで説明します。
Aさんのケース
▽住宅ローン残高1700万円▽カードローン残高300万円▽土地と建物を所有▽土地の価値(公正な価額)500万円▽建物は豪雨災害により「全壊」▽預金400万円▽預金とは別に、被災者生活再建支援金300万円と火災保険金(家財分)200万円を受領。
この制度を利用できる場合、Aさんは預金400万円、被災者生活再建支援金300万円、火災保険金(家財分)200万円の合計900万円をまるまる手元に残すことができます。
ローンについては、土地を手放す場合は全額が免除されますが、Aさんが同じ場所で自宅の再建を希望する場合は、土地の「公正な価額」(500万円)を支払う必要があります。
そこで、例えば残せる900万円から200万円を頭金として支払い、残る300万円については、毎月5万円×60回(5年間)で支払うことが考えられます(一例)。
残りのローン1500万円(2000万円-500万円)は免除されることになります。これは簡略化した一例であり、具体的には債権者との協議が必要となります。詳しくは弁護士会法律相談センターまでご相談ください。
弁護士 伊藤英範