法定相続情報証明制度(熊本日日新聞 2021年1月6日付)
2021.01.06
相続・遺言問題 相続・遺言問題
Q 先だって、高齢の親が天寿を全うし、それなりの遺産を残してもらいました。ただ、預貯金や貸家など各種ある上、私の兄弟姉妹の中には既に他界してしまった者もいて、手続きごとに戸籍一式をそろえるのも大変です。もう少し、簡単に相続関係を証明する方法はないでしょうか。
A 登記所(法務局)の法定相続情報証明制度を利用してはいかがでしょうか。
まず、戸籍等関係書類一式(亡くなられた方の生まれてから亡くなるまでの戸籍と住民票の除票、相続人全員の戸籍)を1組準備してください。これに基づいて相続関係の一覧図を作成し、亡くなられた方の本籍地か最後の住所地、または相続人の住所地などにある登記所に提出しましょう。
そうすると、登記官が相続関係を確認後、法定相続情報一覧図の写しと記載された一覧図を発行します。この一覧図は相続手続きのための利用に限られますが、必要な枚数を発行してもらえ、発行は無料です。これを利用すれば相続手続きを複数の機関で行う必要がある場合でも、戸籍一式を何度もそろえずに済み、相続人の確認もスムーズになります。なお、遺産に不動産がなくても利用できます。
ただし、相続放棄や遺産分割協議の結果は一覧図に反映されないのでご注意ください。一覧図の書き方などは、法務局のホームページや最寄りの法務局のパンフレットをご覧ください。
弁護士 奥村惠一郎