正社員同様の労働で安い給料(熊本日日新聞 2021年3月3日付)
2021.03.03
労働問題 労働問題
Q 私は有期雇用のパートタイマーです。契約更新を繰り返して3年目になります。正社員と変わらない内容の仕事をしていると思いますが、給料は安いです。近ごろ「同一労働・同一賃金」という言葉も聞くようになり、給料が不当に安いのではと心配になってきました。
A 労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法が改正(ただし、中小企業については現時点で一部未施行)され、事業主は、正社員と非正社員との間に「不合理な待遇差」を設けることを禁止され、「均等待遇」、「均衡待遇」が求められることになりました。
具体的には「基本給」については能力、経験、業績、成果、勤続年数について、正社員と同一の非正社員には同一の(均等待遇)、相違がある場合には相違に応じた支給をしなければならない(均衡待遇)とされます。
「基本給」を例にとりましたが、賞与、諸手当、退職金、教育訓練、福利厚生施設の利用、休憩、休日、休暇、安全衛生、災害補償、解雇など、これらすべてにおいて「不合理な待遇差」が禁止されます。
複雑な論点を多数含み、一律に言うのは難しい分野ですが、疑問点があれば弁護士または社会保険労務士に相談されるといいでしょう。
近年では、高年齢者雇用安定法改正による定年延長、労働契約法改正による有期雇用から無期雇用への転換もありました。今後も労働法の改正は続いていくと思われますので、事業主の方も、いま一度自社の規則を見直し、気になる点があれば最寄りの弁護士または社会保険労務士に相談されてはいかがでしょうか。
弁護士 雑賀庸泰