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破産手続き中の未払い賃金(熊本日日新聞 2021年4月28日付)

2021.04.28
労働問題 労働問題

 Q 先日、勤務先から「裁判所に破産申し立てをするため解雇する」と通知されました。勤務先には全く財産が残っていないようです。未払いの給料があるのですが、支払いを受けることができないのでしょうか。

 A 企業(法人または個人事業主)の破産手続きが裁判所に申し立てられた場合、原則として破産管財人が選任されます。破産管財人は企業の財産をお金に換えて、法律の定めるルールに従って債権者(給料を請求する労働者も含みます)に支払い等をすることになりますが、企業に全く財産がない場合には、債権者は受けることができません。
 もっとも、未払いの給料に関しては、破産手続きにおける支払い等とは別に「未払賃金立替払制度」が設けられています。
 この制度は、一定の要件を満たしている場合に、労働者が破産管財人の証明を得て独立行政法人労働者健康安全機構に対して請求することで、同機構が未払い給料総額の8割(対象となる期間等の制限及び年齢による上限額があります)を立て替えて支払います。ただ、同機構で審査されるため、請求すれば必ず立て替えてもらえるというわけではありませんが、この制度を利用すれば、破産手続きの進行にかかわらず、早期に未払い給料の一部が支払われることになります。
 通常は、企業の破産申立代理人弁護士または破産管財人から対象となる労働者に対し、制度利用の案内がなされますので、忘れずに請求するようにしてください。

弁護士 田畑求三