せいかつQ&A

  1. ホーム
  2. せいかつQ&A
  3. 交通事故、被害者側の過失(熊本日日新聞 2021年8月4日付)

交通事故、被害者側の過失(熊本日日新聞 2021年8月4日付)

2021.08.04
交通事故 交通事故

 Q 3歳の孫を連れ、道路脇で草刈りをしていたところ、孫が交通事故に遭いました。相手方は、孫を近くで見ていた私にも責任があり、過失相殺すると主張しています。このような主張は通るのでしょうか。

 A 交通事故の裁判実務において、過失相殺における過失とは被害者本人の過失だけでなく、被害者と特別な関係にある者(身分上または生活関係上一体をなすとみられる関係にある者)の過失も含むとされています。これを「被害者側の過失」と言います。
 被害者本人とどのような関係があれば「身分上または生活関係上一体をなす」というかについては、個別具体的に判断されることになります。例えば親子、夫婦、内縁などの関係は基本的にこれに該当します。
 質問者は被害者の祖父です。祖父が孫にとって「身分上または生活関係上一体をなす」関係にあると一義的には言えず、具体的な検討が必要です。例えば、同居する孫なのか、同居はしていないが日頃から孫を監督する立場にあったのか、年に数回だけ顔を合わせるだけなのかなど、関係の濃淡により判断が異なると思われます。
 また該当するとしても、交通量の多い道路なのかなど事故現場の状況、質問者が目を離していた際に起きた事故なのか、孫はどこにいたのかなど事故発生に至る経緯や状況により、実際に被害者側の過失が認められるかどうかの判断は異なってくるでしょう。

弁護士 村上将門