あおり運転の厳罰化(熊本日日新聞 2021年6月9日付)
2021.06.09
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Q 先日、車で高速道路を走っていたら後続車から車間距離を詰めて追い回されたり、盛んにクラクションを鳴らされたりするなど怖い思いをしました。このような運転が厳罰化されたと聞いていますが、どういった内容ですか。
A ご質問のような、いわゆる「あおり運転」は社会問題化しており、悲惨な死傷事故を引き起こす場合もあります。そこで、昨年6月に道路交通法が一部改正され、「妨害運転罪」が新設されました。車間距離を極端に詰める(異常な接近)、急ブレーキ、蛇行、幅寄せといった一定の危険な運転をして、あおり運転と認められた場合には3年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科されます。
さらに、あおり運転をして高速道路上などで相手の車を停止させるなど、著しい交通の危険を発生させた場合には5年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられます。また、妨害運転罪が科された場合には、一発で免許取り消しという厳しい処分になります。
昨年6月から12月までに全国の警察が摘発したあおり運転は58件。摘発された90%以上のケースでドライブレコーダーに映像が残っていました。危険なあおり運転を減らすには摘発が不可欠ですが、そのためには映像を残しておくことが重要です。車をお持ちの方はドライブレコーダーの設置をお勧めします。また、あおり運転を受けた場合には、安全な場所に避難して車外に出ずに110番通報をするのがよいとされています。
弁護士 北條将人