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大学生への養育費(熊本日日新聞 2021年12月15日付)

2021.12.15
離婚・家庭問題 離婚・家庭問題

 Q 高校生の子どもがおり、現在、配偶者と離婚の話し合いをしています。相手方は親権者になることは認めながら、「子どもは来年18歳で成人する。大学に進学しても養育費の支払い義務はないのでは」と主張します。どうなのでしょうか。

 A 2022年4月1日から、成年年齢が18歳に引き下げられます。そのため、相談者のお子さんは成人してから大学に入学することになります。
 しかし、成年・未成年という区別と、子に対して扶養する義務(生活保持義務)があるかどうかということは必ずしも一致しません。成人したとはいえ、大学生の場合、まだ経済的に自立していないことが多いでしょう。この場合、親は扶養義務、つまり養育費の支払い義務を負うことになります。参議院法務委員会でも成年年齢引き下げにあたり「成年年齢と養育費負担終期は連動せず、未成熟である限り養育費分担義務があることを確認する」と付帯決議されています。
 子が大学に進学する場合の養育費の負担については、親が婚姻中は、婚姻費用分担として協議されます。でも離婚協議中または離婚後なら、子の監護に要する費用(養育費)の分担として話し合われています。
 このように、養育費は両親間の費用分担の問題とされることが多いのですが、扶養請求権は、子が親に対して請求できる権利です。だから子から直接、親へ扶養請求することも可能です。なお、両親間で養育費不請求の合意が行われた場合であっても、子はこれに拘束されずに子からの扶養請求が認められる場合もあります。

弁護士 奥村惠一郎