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発信者情報開示請求(熊本日日新聞 2022年2月23日付)

2022.02.23
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 Q インターネットプロバイダーから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」が届きました。どうやら高校生の息子が、ファイル共有ソフトでアニメ番組をダウンロードしてしまったようです。どうしたらよいでしょうか?

 A アニメ番組の権利者からプロバイダーに対して発信者情報開示請求が行われたようですね。請求を受けたプロバイダーは、通常、IPアドレスから特定した利用者に対して意見照会書を送り、情報開示に同意するかどうかを確認します。
 発信者情報開示請求は、インターネット上で著作権侵害や名誉毀損を受けた被害者が、加害者に対して損害賠償請求や刑事告訴を行う前に、加害者の氏名や住所を明らかにするための手段です。そのため、今後アニメ番組の権利者から著作権侵害を理由とする損害賠償請求や、刑事告訴を受ける可能性が十分あります。
 著作権侵害の心当たりがある場合、単に情報開示に同意するだけではなく、速やかに権利者に謝罪した上で示談交渉を行うべきケースが少なくありません。示談交渉のタイミングを逃さないためにも、意見照会書を返送する前に、一度弁護士に相談することをお勧めします。
 なお、今回のような問題を避けるためには、ご家庭でお子さんに対してインターネットを利用する際、著作権を侵害しないように適切な指導を行う必要があります。特に、BitTorrentのようなファイル共有ソフトは、ダウンロードと並行してアップロードを行う仕組みのものが多く、安易な利用によって権利者から高額の賠償金を請求されるケースもありますので、ご注意ください。

弁護士 木野博徳