不動産の相続登記(熊本日日新聞 2022年3月23日付)
2022.03.23
相続・遺言問題 相続・遺言問題
Q 母が急死しましたが、遺言書はありません。実家の土地・家屋の登記は、祖父名義のままです。晩年の母は住まいの手入れが行き届かず、近隣の方から庭木の越境などの苦情を受けています。きょうだいは皆それぞれ自分の家を所有しており、実家の土地・家屋を相続したいという者はおらず、困っています。
A 不動産の相続では、相続登記や現実の管理がよく問題となります。いずれも放置をすると、トラブルにつながりかねません。放置したまま、さらに持ち主の代が替わればますます問題が複雑化します。売却に時間がかかるようなら、まずは速やかにどなたかが相続・取得し、相続登記して管理すべきです(相続放棄も考えられますが、今回は触れません)。
以前より、相続登記がなされていない所有者不明の不動産の増加が問題となっています。そのため、近い将来には民法及び不動産登記法などが改正され、所有権について相続登記の申請が義務化されます。
申請の義務者は当該不動産の相続人ですが、遺産分割がまだ終わっていない場合は法定相続人となる全員が義務者となります。また、違反者には制裁(過料)の規定も設けられており注意が必要です。なお、義務化の手当てとして、比較的簡易な手続きも創設されます。
関連して、登記義務者の所在が知れない場合、他の手続きの簡略化などもあります。所有者不明の不動産の取り扱いに役立つ場合もあるかもしれません。
ご不明な点は、お近くの弁護士、または司法書士にご相談ください。
弁護士 雑賀庸泰