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海賊版の楽曲(熊本日日新聞 2022年6月15日付)

2022.06.15
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 Q 友人が、私の好きな歌手の曲を無料でダウンロードできるサイトがあると教えてくれました。見てみると、その歌手とは無関係の個人が運営しているようです。利用してもよいのでしょうか?

 A 1990年代、膨大な海賊版(著作権者の承諾を得ていない非合法商品)のCD販売に業を煮やしたロック界の鬼才フランク・ザッパは、「ビート・ザ・ブート」(海賊版を撲滅せよ!)のタイトルで、海賊版の音源を正規版CDとして発売する荒業に出ました。時代は流れ、海賊版はインターネット上にアップされるようになりましたが、今も昔も、海賊版がアーティストの生活を脅かし、健全な文化の発展を妨げていることに変わりはありません。
 以前は海賊版のインターネットへのアップロードのみが規制されていましたが、2021年に施行された法律で、海賊版であることを知りながらダウンロードした場合も違法となりました。反復・継続してダウンロードするなど悪質な場合は、刑事罰となる可能性もあり、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科されます。音楽や映像だけでなく、漫画や小説、イラストなど、全ての著作物が対象です。
 一方で、海賊版であることを知らずにダウンロードした場合は違法ではありませんが、怪しいものは利用しないようにしましょう。好きなアーティストの海賊版を利用すると、本来得られるはずの著作料が入らず、かえってそのアーティストを苦しめてしまいます。海賊版を撲滅することでアーティストを守りましょう。

弁護士 北條将人