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園児飛び出し、運転手けが(熊本日日新聞 2022年07月13日付)

2022.07.13
交通事故 交通事故

 Q 私立保育園の保育士が4歳の園児を引率して公園で遊ばせていたところ、園児が急に車道に飛び出し、走行中のバイクと衝突しそうになりました。バイクの運転手はハンドルを急に左に切って転倒し、頭部を強く打った上、骨折などのけがをしました。園児、両親、保育所の責任はどうなりますか。

 A バイクの運転手は、頭部打撲や骨折などのけがをしており、治療費や休業損害、入通院の慰謝料、また後遺症があった場合はその賠償を請求できます。ただし、園児は4歳児で責任能力がなく、賠償責任を負うことはありません。
 園児の両親は親権者であり、監督義務者として、賠償責任を負うことがありますが、本件は保育園が園児を公園に連れて行って起きた事故です。親権者が4歳児に教えるべき交通安全教育を怠っており、平素より園児の行動に問題があった場合は別として、両親が親権者として責任を負うことはないと考えられます。
 本件は引率の保育士がいながら起きた事故です。保育園や保育士が、代理監督者として責任を負うかが問題となります。保育園の監督義務は、園児の行為を全く予期できない特別な事情がない限り、保育園での保育及びこれに伴う生活関係全般に及ぶと解するのが裁判例です。保育士は園児の安全を確保するだけでなく、本件の様な事故が起きないように注意する義務があり、保育所や保育士は賠償責任を免れないと思われます。

弁護士 三角 恒