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財産の管理を託したい(熊本日日新聞 2014年8月13日付)

2014.08.13
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Q 私は65歳になりました。まだ、成年後見人などを付けてもらう必要はないと思ってはいますが、将来、自分で財産を管理できなくなったときは、信頼できる人に財産の管理を託したいを考えています。何か方法はありますか。

A 「任意後見契約」「財産管理委任契約」という方法が考えられます。この二つの契約は、法定後見制度とは異なり、自分の財産の管理を託す相手を自由に選ぶことができ、財産管理を託す範囲も自由に定めることができます。
 任意後見契約は、公正証書により締結して、その内容が登記されます。これにより「財産管理と託す相手(任意後見人)は誰か」「財産管理を託す範囲はどこまでか」に関して証明することが容易になります。
 任意後見契約は、本人の判断能力が衰えた段階で、本人や本人から任意後見人になるよう委託された人などの申し立てにより、家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから効力が生じます。任意後見人は、任意後見監督人を通じて家庭裁判所の監督に服し、契約で委託された事務を行います。
 財産管理委任契約では、契約の方式や手順に制限はありません。契約後すぐに効力を発生させることができますし、本人が亡くなった場合でも、葬儀や入院中の費用の精算のことなど、一定範囲の具体的な事務処理を託すこともできます。ただし、家庭裁判所の監督に服する制度ではないので、十分に信頼できる相手(受任者)に委託する必要があるでしょう。

弁護士 松林 清文