中小企業のパワハラ 通報窓口の設置(熊本日日新聞 2022年9月7日付)
2022.09.07
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Q 中小企業にもパワーハラスメントの防止措置が義務付けられたと聞きました。詳しく教えてください。
A 2020年6月に施行された労働施策総合推進法改正で、事業主には職場でのパワハラの防止措置などが義務付けられました。経過措置が取られていた中小企業でも、今年4月から義務化されています。
パワハラとは優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、労働者の就業環境が害されるものです。事業主には、①パワハラをしてはならないなど方針の明確化とその周知・啓発②相談体制の整備③パワハラに対する迅速で適切な対応などの措置-が義務付けられています。パワハラの相談を理由に、不利益な取り扱いをすることは禁じられます。
事業主は労働者に一定の業務指導を行う必要があり、パワハラと、許容される業務指導との線引きが難しい面があります。その線引きは、必要かつ相当な範囲の業務指導であったかどうかで判断します。
具体的には、言動の目的、言動があった経緯・状況、業種や業態、業務の内容・性質、言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者との関係性など、総合的に考慮し判断します。
パワハラを予防するためには、管理監督者向け研修や一般従業者向け研修を行うことも有効です。パワハラは日々の積み重ねで深刻化していくことも多いため、通報窓口を設置し早期の対応、解決を図るようにしましょう。
弁護士 渡辺絵美