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労働審判制度 個別紛争(熊本日日新聞 2023年1月25日付)

2023.01.25
労働問題 労働問題

 Q 会社員として働いていましたが、些細[ささい]なことで解雇されました。雇用側は、自由に解雇できるのでしょうか。労働審判制度を利用しようと思っていますが、どのような制度でしょうか。

 A 雇用側が自由に解雇できれば、労働者は突然給与を失い生活に困ります。そこで、労働契約法16条では客観的にみて解雇する合理的理由がない場合や、社会通念上相当でないと認められる場合、解雇権の乱用として無効になると定めています。
 ケースごとの判断になりますが、解雇権の乱用に当たるのは、理由らしい理由がない、些細なことを理由にする、処分の原因となる行為と実際の処分がバランスを欠くなどの場合です。
 労働審判制度は2006年から始まり、裁判官(審判官)1人と労働組合、使用者団体などの推薦を受けた2人の審判員で構成する地方裁判所の労働審判委員会が、3回の期日で個別労働紛争の解決に当たります。労使関係の知識・経験がある民間人が加わり、早期解決のため3回で終わる点が画期的といえます。解決率が約8割と高く、しかも早いことから、多くの人が利用しています。
 労働審判を申し立てる場合、労働条件通知書、就業規則、解雇通知書、給与明細書などの基本的な資料を整理しておくことが必要です。また、第1回期日に事情を詳しく聞かれるため、説明できるよう準備しておく必要があります。

弁護士 園田昭人