義母の介護、相続で評価される?(熊本日日新聞 2023年3月8日付)
2023.03.08
相続・遺言問題 相続・遺言問題
Q 夫の早期退職を機に、東京から夫の故郷である熊本へ夫婦で転居しました。義父は既に亡くなっており、義母と3人で暮らしていましたが、夫は熊本で別の仕事を始めたため、同居して数年後に始まった義母の介護(約7年)は主に私がしてきました。今年2月、その義母も亡くなりました。夫には県外に住む姉と弟がいます。私がこれまで義母の介護を頑張ってきたことは、相続で何か評価されないでしょうか。
A 民法の中の相続法が改正され、「特別の寄与」という制度が新設されました。この制度は、2019年7月1日以降に亡くなった人の相続手続から適用されます。
もともと、故人に対して経済的な貢献などをしていた相続人には、その貢献分を遺産から「寄与分」として、貢献した相続人が取得できる制度がありました。ただし、この寄与分の制度は、相続人にしか認められていませんでした。
一方、相続人以外の親族でも、故人の生前の生活などを支え、故人の財産の維持や増加に貢献している人はこれまでもいました。しかし、相続人以外の親族の貢献に直接応える方法はありませんでした。そのために新設されたのが「特別の寄与」制度です。今回の相談も対象となることが考えられます。
この制度を利用した「特別寄与料」を請求したい場合、請求期間が比較的短いため、速やかな準備が必要です。期間は故人の死亡や相続人を知った時から6カ月、または相続開始から1年です。請求のための法的な要件を備えているかなど、ぜひ一度、弁護士にご相談ください。
弁護士 藤井祥子