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散骨、樹木葬を検討(熊本日日新聞 2023年6月7日付)

2023.06.07
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 Q 現在「終活」を考えています。自然が好きなので、海への散骨や樹木葬を検討しています。このような方法に法律上の問題はありませんか。

 A 散骨とは、焼いた遺骨を山野や海にまく葬送方法を言います。
 厚生労働省は、埋葬などを定める墓地、埋葬等に関する法律に関して、散骨という「まく葬法」は想定していないという見解を示しています。また刑法は、遺骨を遺棄する行為を処罰の対象としていますが、法務省は、葬送の目的として相当の節度をもって行われる限り、罪にはあたらないとしています。
 従って、散骨そのものは違法とは言えません。しかし住民とのトラブルを防ぐため、条例で散骨を規制する自治体もあります。あらかじめ地元の自治体に相談するのが無難です。
 海洋散骨では、遺骨と分からない程度に細かく粉骨することや、観光地や漁場、船の航路などを避けるなどの配慮も欠かせません。そして散骨に反対する遺族との紛争を招かないよう、事前の話し合いが必要です。
 次に樹木葬とは、樹木に囲まれた環境に遺骨を埋める埋葬方法を言います。樹木葬が行われる区域は、墓地としての許可が必要とされています。許可のない自宅や近隣の山野に埋めることは認められません。
 樹木葬を巡っては、故人が眠っている場所が分からなくなった、線香やお供えができない、改葬できないなどの問題が生じたケースがあります。事前に霊園を見学し、トラブルが生じないよう対応を考えましょう。
 終活は正しい情報を集めた上で、慎重に検討してください。

弁護士 森德和