せいかつQ&A

  1. ホーム
  2. せいかつQ&A
  3. けがで物損扱い問題は?(熊本日日新聞 2023年6月21日付)

けがで物損扱い問題は?(熊本日日新聞 2023年6月21日付)

2023.06.21
交通事故 交通事故

 Q 交通事故に遭ってしまったのですが、加害者から「治療費や慰謝料は保険で支払うので物損扱いにしてほしい」と言われました。首が痛いので病院へ通院しようと思っているのですが、物損扱いにして問題ないのでしょうか。

 A 交通事故は死傷者の有無により、死傷者が出ていれば人身事故、死傷者が出ていなければ物件事故(物損事故)と区別されます。
 人身事故の場合、警察が事故現場で実況見分(現場の写真撮影・ブレーキ痕の測定など)を行い、事故状況の把握に必要な情報を集めたうえで、実況見分調書などの記録を作ります。
 一方、物損事故の場合、警察は実況見分せず、ごく簡単な図面などが描かれた「物件事故報告書」を作るだけです。
 そのため事故の状況が争いとなった場合、物損事故扱いで届け出ていると、実況見分調書などの記録が存在しません。事故の状況を把握する重要な証拠がほぼ存在しないことになります。
 物損事故扱いとして届け出ていても、実際にけがを負っているのであれば、治療費や慰謝料を保険で支払ってもらうことは可能です。ただ加害者の要求に応じて物損事故扱いにするか、慎重に判断するべきでしょう。
 なお、物損事故扱いとなっていても、けがなどを負っていれば、後日でも人身事故に切り替えることができます。切り替えたい場合、速やかに警察に届け出てください。

弁護士 山内圭太郎