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祖父の相続問題、父とは音信不通(熊本日日新聞 2023年8月2日付)

2023.08.02
相続・遺言問題 相続・遺言問題

 Q 私の父が十数年前、母と離婚し、1人で上京したようですが、その後音信不通となりました。昨年秋、父方の祖父が亡くなり、祖父の相続問題が発生しました。相続人である祖母や伯父から、「自宅の名義が変えられず、預貯金を引き出せない。何とかして」と言われ困っています。私は一人息子です。どうすればよいですか。

 A 長期間、連絡がとれない人は「不在者」となります。不在者とは、単に住んでいた住所や居場所を去ったというだけでなく、容易に帰ってくる見込みのない者であることが必要です。
 民法上、不在者の財産は、利害関係者や検察官の請求で、家庭裁判所が不在者財産管理人を選び管理させます。相談のケースでは、この手続きをとると不在者の財産管理人が相続人の1人として、ほかの相続人とともに相続手続きに関与することになります。
 次に不在者が生死不明の場合、普通失踪は7年、災害などが原因で行方不明となる危難失踪は1年が経過すれば、家庭裁判所が失踪宣告し、不在者が法律上死亡したものとみなす制度があります。
 相談のケースでは、いずれの制度の選択もできます。生死不明の状態が続いていれば、失踪宣告の手続きを進め、孫であるあなたは相続人として、亡くなった祖父から祖母などへ不動産相続の手続きの協力、各法定相続人に金銭の分配する手続きができます。分配金を受けることも、できることになります。

弁護士 大村豊