古い借金、保証人が返済?(熊本日日新聞 2023年8月16日付)
2023.08.16
借金 借金
Q 10年前、父の連帯保証人になりました。父の支払いが6年前から止まっていると、消費者金融から請求が来ました。3年前、私が5千円を一度返済した記憶があります。借金にも消滅時効があると聞きました。私が一部を返済したことで、時効の主張はできなくなりますか。
A 借金の消滅時効は、2020年4月1日施行の改正民法で「債権の消滅時効期間が、債権者が権利を行使できることを知った時から5年間、権利を行使できる時から10年」とされています。通常「権利を行使できる時」と「権利を行使できることを知った時」は同時である場合が多いと考えられます。基本的に5年と考えておけばよいと思われます。
ただし、20年4月1日より前に発生した借金は、改正前の法律によります。その場合、個人間や信用金庫からの借金は、消滅時効期間が10年です。貸主か借主が会社組織なら、商事時効となり5年です。
ご質問の「消費者金融からの借金」は、貸主が会社組織と思われるので、5年で消滅時効にかかります。お父様は「6年以上払っていない」とのこと。5年はクリアしています。
そして、保証人となったあなたの「3年前の一部支払い」は、主債務者(借りた本人)であるお父様の支払いではありません。あなたは、「主債務者の消滅時効の援用」をすることができます。このため、消費者金融へ書面で「主債務者の消滅時効の援用」を通知し、債務(借金)を消滅させるとよいでしょう。
弁護士 加藤修