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代襲相続の基礎控除額(熊本日日新聞 2023年8月30日付)

2023.08.30
相続・遺言問題 相続・遺言問題

 Q 祖父の遺産を相続することになりました。母は既に他界しています。遺産分割と相続税申告の際の代襲相続について、取り扱いに違いはありますか。

 A 代襲相続とは、相続人になるはずだった方が先に死亡し、その子どもたちが代襲して相続するような場合を言います。
 今回は、祖父である被相続人を甲さん、配偶者を乙さん、夫婦の子をAさん(相談者の母)とBさん、Aさんの子をCさん(相談者)とDさんとし説明していきます。
 民法上、配偶者が遺産の半分を、子はその残り半分を人数で分け合います。つまりAさんとBさんは、4分の1ずつ相続することになります。
 Aさんの代襲相続人であるCさんとDさんは、Aさんが取得するはずだった割合を均等に分けます。Aさんの相続分は4分の1ですので、CさんとDさんはその半分の8分の1ずつ相続します。
 これに対し、相続税の課税遺産総額の計算はどうでしょう。課税遺産総額は、「課税価格の合計額」から「遺産に係る基礎控除額(3千万円+600万円×法定相続人数)」を差し引いて計算します。
 仮にAさんが生きていれば、相続人は配偶者の乙さんとAさん、Bさんの3人です。ただ相続開始前にAさんが死亡したため、相続人は乙さん、Bさん、Cさん、Dさんと、1人増えています。
 基礎控除額を計算する際の法定相続人数は、実際の相続開始時で計算し、代襲相続であるかそうでないかは問題とせず代襲相続人も1人と数えます。
 そこで基礎控除額は、3千万円+600万円×4人=5400万円となります。つまり代襲相続により、基礎控除額が増える場合があるのです。

弁護士 奥村惠一郎