隣家から伸びた枝(熊本日日新聞 2023年9月27日付)
2023.09.27
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Q お隣の木の枝が自分の土地に侵入した場合、「隣家の所有者に伐採するようお願いするしかない」と聞いていました。でも法律が変わって、自分で伐採できるようになったそうですね。どんな場合なら切ってもよいのですか。
A 従来の民法では、隣地の竹木の根が境界線を越えれば自分で切ることができますが、枝が境界線を越えても竹木の所有者に伐採してもらう必要がありました。このため侵入した枝を所有者が伐採しない場合、訴訟で伐採の判決を得て強制執行をするという大変な手間がかかっていました。
しかし今年4月1日の民法改正で、次のような場合は、越境された側の土地所有者が枝を切ることができるようになりました。
①竹木の所有者に伐採するよう催告したにもかかわらず、所有者が2週間程度以内に切除しない②竹木の所有者が不明、または所在が分からない③台風で枝が折れてこちらの建物を破損する恐れがあるなど緊急の事情がある-などです。
今回の民法改正後も、原則として竹木の所有者に越境した枝を伐採するよう依頼することは必要ですが、条件を満たせば越境された側が伐採できます。また伐採にかかった費用は竹木の所有者に請求できると考えられています。
弁護士 北里敏明