娘に同性恋人、親にできることは?(熊本日日新聞 2023年10月25日付)
2023.10.25
離婚・家庭問題 離婚・家庭問題
Q 社会人の娘から、同性の恋人と同棲していることを打ち明けられました。親としてどのようにサポートしていけばよいでしょうか?
A 同性愛者を含む性的少数者は、最近でこそ「LGBT」などの呼称で社会的な認知が広がっています。ただ国内では同性婚が認められていないことに象徴されるように、性的少数者が社会で直面する困難は多岐にわたり、時として深刻な生きづらさを抱えています。
近年、法的な観点からもさまざまな課題が取り沙汰されるようになりました。例えば同性婚は、婚姻届が受理されず、その是非をめぐって各地で裁判となっています。九州でも今年6月、福岡地裁で「同性カップルに婚姻制度の利用によって得られる利益を一切認めず、自らの選んだ相手と法的に家族になる手段を与えていない本件諸規定(同性同士の婚姻を不適法とする民法及び戸籍法の諸規定)は、もはや個人の尊厳に立脚すべきものとする憲法24条2項に違反する状態にある」とする判決が出ました。
県内でも熊本市を含む複数の自治体が同性カップルのためのパートナーシップ制度を導入していますが、法律婚と同様の法的効果はなく、不十分さが指摘されています。
性的少数者の子を持つ親としては、わが子が直面するであろう困難を考えると、ネガティブな反応を示してしまうこともあるかもしれません。ただ生きづらさの問題や、それに伴う悩みに寄り添う姿勢が重要だと言われています。
同性カップルを取り巻く社会的状況を理解すること自体が、サポートにつながると思います。
弁護士 木野博徳