ペットのために財産残したい(熊本日日新聞 2024年3月13日付)
2024.03.13
相続・遺言問題 相続・遺言問題
Q 私は一人暮らしで小型犬を飼っています。高齢になったため、亡くなったときに備えてペットのお世話をしてくれる人に財産を残したいのですが、良い方法がありますか。
A 法律上、ペットは物として扱われるため、ペットに財産を贈与したり、遺言でペットに遺産を相続させたりすることはできません。
そこで、ペットの世話をしてくれる人に、世話することを条件に財産を渡すことが考えられます。
その方法の一つが負担付遺贈です。遺産を相続する代わりにペットの世話(負担)をさせる方法で、遺言書を作成して行います。しかし、遺言書は遺言者が一方的に作成するため、相手がペットの世話を嫌って拒否(放棄)する可能性が残ります。
それを防ぐ方法として、負担付死因贈与が考えられます。これは、相手と贈与契約を取り交わすもので、ペットの世話を拒絶される可能性はなくなります。しかし、相手が約束通りペットの世話をしてくれるか確認する手段がなく、将来に不安を残します。
このような問題を解決する方法として、ペット信託があります。これは飼い主(委託者)が、ペットと飼育費用などを信託財産として受託者に預け、飼育業者などにペットの飼育を委託する仕組みです。
飼い主の希望通りの飼育が行われているか、信託監督人にチェックさせることもできます。ただ、ペット信託の場合、飼育費用がかさんだり、飼育業者の確保が難しかったりするなどのデメリットもあります。メリットとデメリットを考慮しながら、最も適切な手段を選択することが必要です。
弁護士 森德和