アパート退去を求められた(熊本日日新聞 2014年8月27日付)
2014.08.27
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Q 私が住む賃貸アパートの大家さんから、最近空室が多くなりアパートを取り壊して駐車場にしたいので、賃貸借契約を解約すると連絡がありました。1ヶ月以内に退去するよう求められ、困っています。私は退去しなければならないのでしょうか。
A 貸主の都合による解約では、借主としては、家賃不払いなどの事情もないのに退去を求められているわけですから、不当な不利益が生じないよう、借地借家法により要件が厳しく定められています。
まず、貸主が解約を行う場合は、解約の申し入れの日から6ヶ月を経過するまでは、契約が終了しないものとされています。本件でも、1ヶ月以内にアパートを退去する必要はありません。
また、解約の申し入れには「正当の事由」が必要とされています。この正当の事由の有無は、貸主及び借主それぞれがその建物を使用する必要性の比較を中心に、さまざまな事情を総合して判断され、いわゆる「立退料」の有無が考慮されることもあります。
本件では、アパートに空室が目立つから駐車場に変更するというのが貸主側の事情とのことですが、このような場合、立退料の支払いもない状態で解約が認められるとは考えにくいと思われます。
同じ場所に住み続けたい、引っ越し費用を支払ってもらえれば引っ越してもよいなど、相談者の意向により解決の方法もさまざまです。お気軽に弁護士にご相談ください。
弁護士 松本 卓也