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物流・運送の2024年問題(熊本日日新聞 2024年4月10日付)

2024.04.10
労働問題 労働問題

 Q 「物流・運送の2024年問題」という言葉を聞きますが、どのような問題でしょうか。私たちの生活にも影響がありますか。

 A 心身の健康維持やワーク・ライフ・バランスのとれた生活のため、労働基準法で時間外労働の上限が規定されました。大企業では2019年から、中小企業では20年から上限規制が適用されましたが、これまで適用が猶予されていた自動車運転業務でも244月から適用されました。
 トラック、バス、タクシーなどの業界では、今回の上限規制を上回る長時間労働が常態化していました。上限規制が適用されると、今までのように荷物が届かない、バスの運行が維持できない、利用したい時にタクシーが使えないなどの不都合が生じることが予想されています。
 そこで、ITシステムを活用した配送業務の効率化やバスの便数の見直し、ライドシェアの利用などが検討されています。
 配送業務の効率化に関しては宅配ボックスを利用したり、確実に受け取れる配達時間を指定したりして、荷物の再配達を減らすなど利用者側で協力できることもあります。
 また、上限規制で残業時間が減ることにより、運転手の収入が減り、離職者が増えることも懸念されています。運転手の賃金を上げて離職者を減らすためには利用者への価格転嫁、すなわち配送料や運賃などの値上げが必要とも言われています。これがうまくいくためには、社会全体の賃上げが進むことが望まれます。

弁護士 渡辺絵美