給与買い取り業者、注意して(熊本日日新聞 2024年5月8日付)
2024.05.08
借金 借金
Q「手軽に給料を前借り、即日現金化。最短30分で入金可能」などと給料を買い取ってくれる業者が広告を出していました。給料日前で手持ちが少なく利用を考えていますが、問題ないでしょうか。
A「給与ファクタリング」はご存じでしょうか。これは労働者の給料を買い取る代金として手数料を差し引いた金額を提供する契約などのことです。労働者が給料日に返済するケースもあれば、給料日の前に返済をしなければ、勤務先に通知するなどのケースもあるようです。
一見、給料債権の売買ですので適法であるかのように思えますが、実態は高額な手数料や強引な取り立て(勤務先への連絡など)を背景に、トラブルが生じやすくなっています。
基本的に給料は勤務先から労働者に直接支払いをしなければならず、業者が受け取ることはできません。公的機関も注意喚起を促しており、今年の最高裁判所の判決でもこのような形態は実質的に「貸し付け」に当たるものとして、貸金業であると判断されました。
無登録の闇金と同様、勤務先などを知られてしまうと、そこから多くの個人情報が引き出されることもあり、勤務先だけでなく身近な人にまで悪影響を及ぼす可能性もあります。
「闇金、借金ではない」や「給料の前借り」などのうたい文句に安易に手を出すことのないよう、「これも闇金業者の関係かもしれない」という意識を持ち、利用しないように心がけていただければと思います。
弁護士 渡邉剛