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相続時の生命保険金(熊本日日新聞 2024年5月22日付)

2024.05.22
相続・遺言問題 相続・遺言問題

 Q 遺言書を書こうと考えていますが、「Aさんに全財産を相続させる」と記載した時に生命保険金もAさんが受け取れますか。生命保険金の受け取りは妻になっています。Aさんが生命保険金を受け取れないのであれば、どのようにしたら良いでしょうか。

 A 裁判所の見解では、生命保険金は保険金受取人を指定した時は、指定を受けた人の固有財産となり、亡くなられた方の相続財産からは離脱しているという扱いになっています。
 そのため、遺言書に「Aさんに全財産を相続させる」と記載しても、質問者の方の相続財産に生命保険金は含まれていませんので、Aさんは生命保険金を受け取ることができません。
 ただ、生命保険金の受取人の指定をAさんに変更する方法はあります。生前に保険会社に連絡して変更する方法と、遺言書に生命保険金の受取人を変更する旨の記載をして変更する方法の2通りです。
 とはいえ、変更するには保険会社内部で保険契約を締結した方と受取人の関係に、一定の親族関係が認められないと変更ができないという場合もあります。
 本件では質問者の方とAさんとの間で、保険会社が求める親族関係があれば受取人の変更ができます。変更手続きをすれば、Aさんは生命保険金を受け取れるようになります。
 相続の紛争を防ぐための遺言書ですので、間違いがないように遺言書を作成する際は弁護士に相談をすることをお勧めします。

弁護士 大林真悟