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法廷相続人間の遺産分割(熊本日日新聞 2024年6月5日付)

2024.06.05
相続・遺言問題 相続・遺言問題

 Q 父母と兄弟2人の4人家族です。父が3年前に他界しました。父の財産をどう分けるかの話はこれまでありませんでした。ところが、最近になって父母の自宅の名義が父から弟に代わっていることを知りました。私の相続分はどうなるのでしょうか。

 A 人が死亡すると被相続人の財産をその法定相続人間でどう分配するのかということになります。
 これが遺産分割の問題ですが、法定相続分が一つの基準となって、遺産分割協議が進み、その話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所での調停、審判などの手続が進みます。
 一方、人は年齢が高くなってくると死後のことを考えて、その遺産をどう処分するかを遺言により意思表示することができます。
 生前であれば、自分の財産をどう分配するかは、その人の自由です。また、死後のことについても、その人の自由にできます。
 しかし、遺言者には家族がいて、その人の財産や収入により、生計を維持している人がいます。遺言者の死亡後の同居家族らの生活維持の必要があります。
 その残された家族のための制度が遺留分制度というものです。被相続人の遺言の自由と相続人の保護との調和を図る制度として成立したものです。
 法定相続人については、法定相続分の2分の1の権利主張ができることが規定されています。
 質問の場合、既に自宅の土地・建物の名義変更手続きが済んでいるのですから、遺言書による手続きと思います。
 そのほか、被相続人の預貯金がどうなっているかなどの疑問もありますが、不動産の相続手続きを知った以上、遺留分の主張を1年以内に弟さんに対してする必要があります。

弁護士 大村豊