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相続土地、国に帰属の制度(熊本日日新聞 2024年7月17日付)

2024.07.17
相続・遺言問題 相続・遺言問題

 Q 2023年4月27日から、相続した土地を国に帰属させて自分で管理しないでよい制度ができたそうですが、どんな場合に利用できるのですか。

 A 土地利用ニーズの低下などにより、山林や農地を相続したものの、土地を手放したいと考える人が増加しています。また、相続により土地を望まず取得した人の固定資産税などの負担感が増しており、管理の不全化を招いています。
 そこで、新しい制度として相続または遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により取得した土地を手放し、国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属法」が施行されました。
 しかし、どんな土地でも国に渡せるわけではありません。建物や工作物などがある土地土壌汚染や埋設物がある土地危険な崖がある土地権利関係に争いがある土地担保権などが設定されている土地通路など他人によって使用される土地-などは駄目です。
 これら以外の土地について「遠くに住んでいて利用する予定がない」とか「維持が難しい」などの理由で処分したい時は、法務大臣(法務局)の審査を受けて承認を得、10年分の土地管理費相当額を国に事前に納付すれば、納付の時点で国に所有権が帰属し、管理を引き受けてくれます。
 具体的な納付額は、都市計画市街地が100平方メートルで約55万円、農用地区の市街地が500平方メートル約72万円、森林が1500平方メートル27万円、これら以外の土地は面積にかかわらず、20万円とされています。

弁護士 北里敏明