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公正証書で給料差し押さえ(熊本日日新聞 2014年9月10日付)

2014.09.10
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Q 公正証書とはどのようなものでしょうか。知人が給料の差し押さえをされました。聞けば、公正証書に基づく差し押さえとのことです。裁判所の判決も無いのに、差し押さえができるのでしょうか。

A 公正証書とは、公証役場という所で公証人が作成する文書のことです。一般の書類では、重要な内容の取り決めであっても、強制力を持つことはありません。しかし、公正証書が作成されると、強制力を持ちます。
 例えば、借金したことを認める「債務承認」の公正証書が作られると、これに違反した場合には、給料が差し押さえられる可能性があります。裁判の手続きをしなくても、差し押さえは可能です。
 公正証書の作成には、実印や印鑑証明書が必要です。場合によっては証人も必要です。公証役場で公証人が内容をチェックして作成します。ですから、公正証書が勝手に作られることは、そうあることではありません。勝手に作られてしまうのは、だまされて他人に印鑑証明書を渡してしまい、実印を押してしまう場合です。
 内容が分からない書類には、実印を押してはいけません。万一、だまされて公正証書が作られた上で差し押さえを受けた場合、その公正証書が不正に作成されたことを裁判所に申し立てる必要があります。そして裁判と判決で不正を明らかにしなくてはいけません。それには手間も費用もかかります。印鑑証明書と実印の取り扱いには注意しましょう。

弁護士 松本津紀雄