事故のけが「症状固定」に(熊本日日新聞 2014年9月24日付)
2014.09.24
交通事故 交通事故
Q 交通事故に遭い、けがの治療を続けていましたが、主治医から最近、「症状固定ですね」と言われました。まだ痛みやしびれが残っているのですが、この後、通院した場合の治療費や後遺症について、事故の加害者に対し損害賠償を請求できますか?
A 「症状固定」とは、これ以上治療を続けても、症状が良くも悪くもならない状態をいいます。そのため、医師に症状固定と判断された後の治療費は、必要な治療ではないとして事故の加害者に請求することは難しくなります。?
その代わり、残った症状、いわゆる「後遺症」が、損害賠償の認められる「後遺障害」として認定された場合には、加害者に損害賠償を請求できます。
後遺症が後遺障害と認定されるかどうかは、医師による診断や検査結果、本人による症状の訴えなど、さまざまな事情が考慮されます。 後遺障害と認定されると、被害者は加害者に対して、「後遺症逸失利益」と「後遺症慰謝料」を請求することができます。後遺症逸失利益とは、事故による後遺症がなければ得られたはずの利益のことで、後遺症で労働や日常生活が制限を受けた割合などから算定されます。
このケースでは、残った症状について後遺障害の認定を受けることができれば、その分の損害賠償を請求できます。ただし、けがの種類や治療経過などによっては、後遺障害の認定が難しい場合もあります。まず専門家に相談されることをおすすめします。
弁護士 松本美季