離婚後の親権どうなる/「単独」「共同」日本でも選択へ(熊本日日新聞 2024年8月7日付)
2024.08.07
離婚・家庭問題 離婚・家庭問題
Q 離婚を検討しています。幼い子どもがいます。離婚後の親権はどうなりますか。
A わが国の現行法は、離婚後の親権者を父母のどちらか1人に定める「単独親権」を原則としているので、離婚に際して父母のどちらかを親権者に定める必要があります。
もっとも、世界では元夫婦の両方が共同で親権を行使する「共同親権」制度を採る国が多いと言われています。今回は、某卓球選手の国際結婚・離婚でも話題になりましたが、わが国でも将来導入される「共同親権」についてです。
それぞれの制度に、メリット・デメリットがあります。共同親権のデメリットは、例えばDVで完全に縁を切りたい夫婦であっても現行法以上に絶ち切り難くなるなどが考えられます。先日も、反対の立場の方々が国会前で反対集会を開きました。
しかし、法が重視する理念は「子の福祉」であり、養育費や面会交流に対する裁判所の対応などからも明らかです。父母双方との交流を通じて成長するのが、子にとって望ましいとの考え方です。それをより強化したい制度が共同親権です。
先日衆院を通過した改正民法では、単独親権と共同親権のいずれかを父母の合意によって選択する、合意できない場合には裁判所が決める制度になりました。この改正民法には各方面から懸念も示されており、付則では将来の見直しも盛り込まれています。しかし、いかなる制度であっても子の福祉を重視するのが法の考え方です。現行法も、養育費の支払いや面会交流の滞りのない実行を指向しています。
弁護士 雜賀庸泰