パワハラ調査の進め方/双方からヒアリング、更生・迅速に(熊本日日新聞 2024年8月28日付)
2024.08.28
労働問題 労働問題
Q 当社の従業員が、上司からパワーハラスメントを受けたと申し出ています。どのように調査を進めたらよいでしょうか。
A 事業30条の2に基づき、パワハラにより就業環境が害されないように必要な措置を講ずる義務がありますので、従業員からパワハラ被害の申し出があった場合、調査を速やかに行う必要があります。
調査を行う担当者は、中立の立場で、秘密を守ることが求められます。調査の一般的な進め方としては、①調査計画の策定②申出人からのヒアリング③相手方からのヒアリング④第三者からのヒアリング⑤事実認定⑥パワハラ該当性の評価-という流れになります。
ケースによっては、③と④を逆にする場合もあります。申出人からのヒアリングにおいては、いつ、どこで、誰が、何をしたのかを特定するとともに、それを裏付ける録音データやメール、メモ、目撃者などの有無を確認します。業務上の必要性や相当性を判断するために、それまでの経緯や背景事情も聴取した方がよいといえます。
相手方からのヒアリングにおいては、特定された行為につき具体的に聴取するだけでなく、相手方からみた経緯や背景事情も聴取した方がよいといえます。職場環境の適正な調整(人事異動、懲戒処分、再発防止策など)のためには、公正・迅速な調査が不可欠です。厚生労働省の指針などを参考に、調査方法についてのマニュアルを作成しておくとよいでしょう。
弁護士 園田昭人