親の認知症、財産管理は/成年後見制度、状況に応じ利用を(熊本日日新聞 2024年11月6日付)
2024.11.16
成年後見 成年後見
Q 実家に住む85歳の母親の様子がおかしいので、病院に連れて行ったところ認知症と言われました。実家には、よく分からない業者も勧誘に来ているようです。亡くなった父の遺産分割もできないままです。どうしたらいいでしょうか。
A 認知症や精神障がいなどで判断能力が不十分なご本人に代わって、第三者(専門職やお子さんら)が財産管理(預金や不動産の管理、相続手続きなど)や身上保護(福祉サービスの利用契約など)をしたり、ご本人の締結した不適切な契約を取り消したりする制度として、成年後見制度があります。
成年後見制度には法定後見と任意後見があります。
まず、法定後見は、既に判断能力が不十分な方が対象の制度です。法定後見は症状の重い順に(狭義の)後見、保佐、補助と分かれます。
法定後見制度を使う場合、家庭裁判所に、その旨を申し立てる必要があります。ご本人だけでなく、4親等以内の親族(子やおいめい、いとこら)による申し立ても可能です。
他方、任意後見は、今は大丈夫だけど、将来判断能力が不十分になった場合、自分で決めた「任意後見人」に財産管理などを依頼する制度です。その際は、公正証書で「任意後見契約」を締結する必要があります。
契約後、判断能力が不十分になった場合は、家庭裁判所に「任意後見監督人」を選んでもらい、その監督の下、任意後見人が財産管理などを行います。
ちょっと難しい話になってきましたね。不安だな、という方は、専門家にご相談されてはいかがでしょうか。
弁護士 益子覚