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所有者不明の土地/選任された「管理人」に依頼を(熊本日日新聞 2024年12月18日付)

2024.12.18
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 Q 私の自宅の隣には所有者不明の土地がありますが、ごみの不法投棄や生い茂る雑草のせいで、生活に支障が出ています。何か対処法はありませんか。

 A 不動産の所有者は、通常、不動産登記簿で確認できますが、相続登記がなされず相続した所有者が特定できなかったり、住所変更登記がなされず登記上の所有者の所在が追跡できなかったりすると、所有者が不明という事態が生じます。
 このような場合、以前は、不在者財産管理制度や相続財産管理制度などが利用されていましたが、これらの制度は、不在者や被相続人といった人単位での管理が想定されていて特定の不動産のみの管理には適さない、隣地所有者や購入希望者というだけでは利用できない、などの問題がありました。
 そこで、特定の不動産のみの管理を目的とした所有者不明土地(建物)管理制度が創設され、202341日から施行されています。
 この制度では、所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができない土地であって管理が必要と認められるものについて、利害関係人の請求により選任される所有者不明土地管理人(以下「管理人」)が管理を行います。そのため、対処法としては、管理人にごみや雑草を撤去してもらうことが考えられます。
 また、この制度は、取得希望理由や代金の支払能力なども踏まえて適切な管理に資すると判断されれば土地の購入希望者も利用できるため、管理人から土地を購入することも考えられます。

弁護士 向井飛翔