離婚に関係するお金の問題/財産分与など請求期間に制限も(熊本日日新聞 2025年2月12日付)
2025.02.12
離婚・家庭問題 離婚・家庭問題
Q 離婚を考えているのですが、離婚に関係するお金の問題を教えてください。
A 扶養する子がいる場合には、養育費の取り決めをします。2022年4月から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが、養育費の支払いの終期は個別の事情に応じて考えます。子が成年に達したとしても、未成熟で経済的に自立していない場合、例えば学生であるような場合には、養育費が発生します。
財産分与は、夫婦で築いた共有財産を分ける制度です。夫が働いて妻が専業主婦であったような場合でも、妻が家事に専念していたことにより夫が収入を得ることができたと考えるので、2分の1ずつ分与するのが原則です。結婚前からの預貯金や親から相続した財産などは財産分与の対象になりません。
年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金の納付記録を、離婚する時に夫婦で分割する制度です。全員が加入する国民年金(基礎年金)ではなく、厚生年金の2階部分だけが対象です。年金分割の手続きをすると、厚生年金の納付額が少なかった方が将来受け取る年金額が増え、もう一方の年金額が減ります。
慰謝料は、離婚に至った原因が不法行為と評価できる場合に請求できるお金です。単に性格の不一致が原因で離婚する場合には請求できません。相手の不貞や暴力などが原因で離婚する場合に請求できるのですが、不貞や暴力を証明できるかが問題になることが多いので、証拠の確保が重要です。
財産分与、年金分割、慰謝料には、請求できる期間に制限があるので注意しましょう。
弁護士 渡辺絵美