土地売買の契約トラブル/怪しい業者も、事前に相談を(熊本日日新聞 2025年6月18日付)
2025.06.18
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Q 私が所有して農家に貸している土地について、半導体工場や工業団地が整備されるといううわさが出てきました。途端にさまざまな業者が「売ってくれ」や「売買の予約だけでも」と訪ねてくるようになりました。注意することはありますか。
A 工場や工業団地の予定地について、不動産の売買や売買予約に関するトラブルをよく耳にします。数百万円程度のまとまった手付金を提示し、信用させてから地権者と契約するものの、地権者が後から契約書をよく見ると、業者側に一方的に有利であるなど不当な内容だったというトラブルがあります。
不当な内容の具体例として、地権者側から解約できなかったり、地権者側からの解約に法外な違約金(土地代金と同額の違約金)を設定したりするというものがあります。
後に好条件の買い手が現れたり、自治体などの公的機関が買い取りを求めてきたりした場合、解約に関してトラブルになり得ます。ほかにも不当な条項の例がたくさんあります。
また、本当は自治体の依頼などを受けていないにもかかわらず、「○○町役場の委託を受けて来ました」などとうそを述べて商談をしようとする業者も耳にします。
一度、変な契約書に印鑑をついてしまうと取り返しがつかなくなります。怪しい業者が訪ねてきた場合、まずは自治体に相談するといいでしょう。それでも不安な場合や万が一にも不当な契約をしてしまった場合には、一刻も早く弁護士に相談することを強くお勧めします。
弁護士 清水谷洋樹