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危険、崩れかかったブロック塀/けがの賠償責任、占有者が負う(熊本日日新聞 2025年7月16日付)

2025.07.16
その他 その他

Q 近隣に崩れかかっているブロック塀があり、通行人にとって危険な状態です。万一、塀が崩れてけがをしたような場合、持ち主に責任を問うことはできるのでしょうか。

A
 建物・塀・道路・電柱のように、土地に接着して人工的につくられたもののことを土地の工作物といいます。土地の工作物の設置や保存に瑕疵[かし]があり(瑕疵とは安全性を欠いていることをいいます)、それによって第三者に損害が発生した場合には、原則として、その工作物の占有者が賠償責任を負います。占有とは、実際上管理・支配していることをいい、所有者に限らず、借家の借主なども占有者に該当します。
 なお、工作物が役所の建物や公道などの公共物の場合には、国や地方自治体が賠償責任を負います。
 ご質問の場合、ブロック塀が設置された時点で通常の安全性を備えていなかったのであれば、設置に瑕疵があることになります。老朽化して崩れたのであっても、必要な補修がなされなかったような場合には保存に瑕疵があるといえるので、塀がある家の住民などの占有者は、けが人に対して賠償責任を負うことになります。
 もっとも、地震や台風などの自然災害で塀が倒壊したような場合には、必ずしも設置や保存に瑕疵があったことが原因の倒壊とはいえず、不可抗力とされる場合もあります。最終的には個別に判断する必要がありますが、一般論としては、通常予想される程度の地震や強風で崩れた場合には、安全性に問題があったといえるでしょう。

弁護士 田上裕輝