熱中症対策、企業に義務化/安全配慮、違反なら賠償金も(熊本日日新聞 2025年7月30日付)
2025.07.30
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Q 建設会社の経営をしています。最近、熱中症で倒れる人が多いというニュースを見ますが、建設会社として、どういうことに注意しなければならないでしょうか。
A 6月1日に改正労働安全衛生規則の施行によって、事業者に対し、熱中症対策が義務付けられました。
具体的には、「WBGT(暑熱環境による熱ストレスの評価を行う暑さ指数)」が28以上、または気温31度以上の環境下で連続1時間以上、または1日4時間を超えての実施が見込まれる作業を行う際には、熱中症患者の報告体制の整備や熱中症の悪化を防止する措置の準備を行い、それらについて、作業従事者に広く知らせることが求められます。
そして、事業者は熱中症が発生したら、当該作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察または処置を受けさせること、その他、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置を講じなければなりません。
こうした必要な措置を取らないまま放置した結果、労働者が重篤な状況などになってしまうと、事業者は安全配慮義務に違反したとして、莫大[ばくだい]な損害賠償金を支払わなければならなくなってしまうリスクがあります。
前述のような条件に当てはまる場合、必要な措置を取るようにしましょう。
また、今後も法改正などにより、事業者の義務などが新たに生じることもあります。事業者の方は、弁護士から事業についての助言などのサポートを常に受けられるようにしておくことが望ましいと考えます。
弁護士 大林真悟