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再婚後、子に財産承継するには(熊本日日新聞 2014年11月5日付)

2014.11.05
相続・遺言問題 相続・遺言問題

Q 私は、先祖から自宅屋敷と土地を相続し、財産を減らさないように努めてきました。妻との間に長男と長女をもうけ、それぞれ家庭を持っています。妻は病気で先立ち、10年になります。そんなとき、ある女性と出会いました。この方であれば、自分の余生を一緒に過ごしてもいいと思います。しかし子供らは、私が結婚すれば、縁もゆかりもないその女性に財産が半分相続されると反対しています。元々、先祖から引き継いだ財産ですから、子供らの言うことも分かります。どうすれば良いでしょうか。

A 確かに、相談者が再婚して何もしなければ、配偶者の法定相続分は2分の1ですので、遺産の半分は女性が相続することになります。ただ、その相続割合を変えたり、具体的な相続財産を指定したりする方法として、遺言があります。
 遺言のほかに、相談者が亡き後の女性の生活基盤を確保しつつ、先祖伝来の財産は子供らに残す方法として、「信託」という方法も考えられます。
 信託では例えば、長男を受託者として財産を移転しつつ、女性を受益者として女性の存命中は自宅屋敷に居住する利益を保障するともに、遺族年金などの金融資産を女性に渡すことができます。こうすると、財産の所有権を血のつながった子へ引き継ぐとともに、相談者が亡くなった後の女性の生活の安定も確保できます。そのほか信託は、障害のある子の福祉や祭祀[さいし]の承継などに使うことができる場合もあります。
                           弁護士 宮田房之