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「拘禁刑」とは(熊本日日新聞 2025年12月17日付)

2025.12.17
刑事事件 刑事事件

Q 明治以来135年も続いてきた、日本の刑罰の「懲役」と「禁錮」の区分が、ことしの6月1日からなくなったと聞きました。一つになった「拘禁刑」って何ですか。

 A 従来、「懲役刑」は主に殺人・強盗・詐欺などを犯した人に科され、刑務作業が義務付けられていました。
 一方、「禁錮刑」は交通事故による過失致死傷や思想犯・名誉毀損[きそん]などに適用され、作業義務はありませんでした。しかし実際には禁錮受刑者の約82%が自発的に作業に従事しており、実態として両者の処遇に大差はありませんでした。
 そのため、「懲役」と「禁錮」の区分を維持する合理性が薄れ、61日からの刑法等の改正で「懲役」と「禁錮」の区分が廃止されて、「拘禁刑」に一本化されました。
 新制度では、まず、「裁判官」が犯罪内容に応じ有罪無罪の判断をし、「拘禁刑」の期間などを定めて言い渡し、その後、受刑者に作業をさせるか否かを「刑務所長」が「処遇計画」に基づき決定します。
 この改正に対し、「もっと厳罰で臨むべきでは」との意見もあります。しかし、「拘禁刑」への一本化という改革は、犯罪者を「拘禁」することにより「罰する」だけでなく、従来の懲役・禁錮の区分では対応しきれなかった、受刑者の多様な背景や更生の可能性を十分に考慮し、教育・医療・就労支援などを含む再犯防止策がより柔軟に行える制度に転換されたものと考えられています。

弁護士 北里敏明