亡くなった父親の借金(熊本日日新聞 2015年04月08日付)
2015.04.08
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Q 私は、両親と弟の4人家族で、私も弟も会社員として働いています。自営業の父が亡くなり、商売の関係で1千万円の借金が残っていることが分かりました。私は、父の商売に全く関与していないのですが、父の借金を背負うことになるのでしょうか?
A 相続人は、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や保証債務などのマイナスの財産も相続するのが原則です。したがって、あなたもお父さんの借金を相続することになります。
借金などの金銭債務を相続する場合、各相続人は、法律で定められた相続分に応じて分割して承継することになります。配偶者であるお母さんは500万円(2分の1)、あなたと弟さんはそれぞれ250万円(4分の1)の借金を承継することになります。
もっとも、初めから相続人にならなかったことになる「相続の放棄」や、プラスの相続財産の限度でのみ債務を支払う「限定承認」という手続きをすると、借金の負担を避けられます。お父さんにプラスの財産がほとんどなければ、相続の放棄をすればよいでしょう。
なお、相続の放棄や限定承認は、原則として、被相続人が死亡したことおよび自分が相続人となったことを知った時から3カ月以内にしなければなりません。相続すべきか、相続の放棄や限定承認を行うべきかは、お父さんにどのような財産が残っているかにより判断します。迷ったら、弁護士にご相談ください。
弁護士 吉見仁宏