せいかつQ&A

  1. ホーム
  2. せいかつQ&A
  3. 睡眠薬を飲み自損事故 (熊本日日新聞 2015年07月01日付)

睡眠薬を飲み自損事故 (熊本日日新聞 2015年07月01日付)

2015.07.01
交通事故 交通事故

Q 深夜、職場から急に呼び出され、車を運転して職場へ向かいました。ところが途中で自損事故を起こし、車は大破しました。私は不眠症の治療のため、毎晩、寝る前に睡眠薬を飲んでおり、そのためか事故の当日も所々、記憶が飛んでいます。加入している自動車保険で、車両保険金を支払ってもらえるでしょうか。

 A 自動車保険の契約約款には、事故により損害が生じた場合でも、保険金が支払われない場合が定められています(免責条項)。例えば戦争・暴動、地震・津波などの大災害、飲酒運転などにより生じた損害には、保険金が支払われません。

 今回のケースとの関係では「麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、シンナーなどの影響により正常な運転ができない恐れがある状態で、自動車を運転している場合に生じた損害」について、保険金を支払わないとの定めがあります(薬物免責条項)。

 睡眠薬は、前記の例示には挙がっていません。ですが、今回のケースと同様の事案が問題となった訴訟で、裁判所は、睡眠薬を使用した影響により正常な運転ができない恐れがあったとして薬物免責条項を適用し、保険金の支払いを認めませんでした。

 使用したのが違法薬物ではなくても、保険金が支払われない場合があるという点が重要です。同じことは抗不安薬や抗うつ薬、抗精神病薬などを使用している方にも問題となり得ます。

 間もなく車を運転する可能性があるのでしたら、こうした薬を飲まないか、飲んだのであればしばらくは車を運転しないなどの対処が必要でしょう。

? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? 弁護士 石部雄一