せいかつQ&A

  1. ホーム
  2. せいかつQ&A
  3. 民法改正、どんな影響? (熊本日日新聞 2015年07月15日付)

民法改正、どんな影響? (熊本日日新聞 2015年07月15日付)

2015.07.15
その他 その他

Q 約120年ぶりの民法大改正があると聞きました。私たち市民の生活に、どんな影響があるのでしょうか?

 A 今回の民法改正では、市民生活に関わる条文の改正が検討されています。あなたが、友人Aさんにお金を貸す例をもとに、二つの改正案を紹介します。

 一つ目は、消滅時効制度。消滅時効というのは、一定期間、権利を行使しないと、その権利が消滅する制度です。現行法では債権の時効期間は原則10年ですが、改正案では「債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年間」です。あなたがAさんにお金を貸す場合、何もせずに5年たつと「お金を返して」と言えなくなる可能性があります。このように実質的に時効期間が短縮されますので、注意が必要です。

 もう一つは法定利率。現行法では年5%ですが、改正案では年3%で、3年ごとに見直される「変動制」とされています。そして金銭債務の不履行の場合の損害賠償の額は、法定利率によるとされています。つまり、あなたがAさんにお金を貸す際、いつまでに返してもらうか約束(弁済期の合意)したのに、その日までに返してもらえない場合、現行法ではAさんに対して年5%の遅延損害金を請求できますが、改正案では年3%または見直された利率です。

 今回の改正案は、今国会で成立すれば、2018年をめどに施行される見通しです。

? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? 弁護士 伊藤英範