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医療事故調査制度スタート (熊本日日新聞 2015年12月02日付)

2015.12.02
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Q 「医療事故調査制度」が始まったと聞きました。どのような事故が起きた場合に調査してもらえるのでしょうか。

 A 医療法の改正により、ことし10月1日から医療の安全確保策として医療事故調査制度が始まりました。

 調査の対象は、病院などの医療機関が提供した医療が原因または原因と疑われる死亡や死産で、その医療機関が死亡などを予期しなかった事故に限られます。ですから、事前に死亡が予期されると説明されていたり、診療録などに記録されていたりした場合には、調査の対象にはなりません。
 医療機関が、この条件を満たす医療事故にあたると判断したときは、まず、遺族に事故の状況と調査を行うことを説明します。次に直ちに第三者機関の医療事故調査・支援センター(日本医療安全調査機構)に報告し、必要があれば解剖や死亡時画像診断を行い、医療事故調査等支援団体の支援を受けて自ら調査したり、センターへ調査を依頼したりします。
 その後、医療機関は調査結果を遺族へ説明し、センターへ報告しなければなりません。医療機関が医療事故と判断した場合は、遺族もセンターへ調査を依頼し、結果の報告を受けることができます。
 本制度に基づく調査対象はかなり限定されます。ですが、該当しない場合でも、十分な調査と遺族への説明が、医療紛争の増加防止や、円滑で迅速な解決にプラスとなることに留意すべきでしょう。
                          弁護士 奥村惠一郎