せいかつQ&A

  1. ホーム
  2. せいかつQ&A
  3. 借家の損壊 (熊本日日新聞 2016年7月5日付)

借家の損壊 (熊本日日新聞 2016年7月5日付)

2016.07.05
震災関連 震災関連

 Q 今回の地震で借家が一部壊れてしまいました。大家さん(賃貸人)は「修繕する」と言うものの、なかなかしてくれません。家賃の減額を求めたいのですが、可能でしょうか。自分で修繕した場合には、費用を請求できますか。
 A 賃貸人は契約目的通り、賃借人に賃貸物を使用させる義務があります。
 一部に使用不能の状態が生じた場合、それが建物の設置・保存に不手際があったために生じたのか、不可抗力だったのかを問わず、賃貸人は原則として修繕義務を負います。修繕してくれないのであれば、賃借人の家賃減額請求は可能です。
 つまり、賃貸人に払う家賃は、契約目的通りに賃貸物を使用できる対価なので、契約通りに使用させることができなければ、賃貸人は家賃を全額請求できないのです。
 また、賃貸人が修繕しない場合、賃借人は賃借物を修繕することができます。賃貸人が負担しなければならない範囲の費用は、必要費として賃貸人に請求可能です。修繕してくれないことで損害が生じた場合には、損害賠償請求もできます。いずれも賃料と相殺することも可能です。
 必要費の範囲については争いがありますし、家賃減額の程度の判断は難しいので、専門家に相談することをお勧めします。
                           弁護士 福山素士